第35章

別荘では、美波はすでに怖さで泣き声すら止まり、ひくっとしゃくり上げながら小さく鼻をすすっていた。

神崎聖子は癇に障ったのか、冷えた顔のまま言い放つ。

「泣くのが好きなんだろ。ほら、もっと泣きな。今日はそのタライが涙でいっぱいになるまで、止めるんじゃないよ」

美波は本気で怯えていた。案の定、「わあっ」と声を上げて泣き出す。

さっきまでの泣き方は、駄々をこねるための泣き方だった。泣き三分、騒ぎ三分、まだ余力四分。

でも今度は違う。

小さな手でタライを抱え、ぽろぽろと涙を落とす。涙は安い豆みたいに、ぱたぱたと容赦なくタライの底を叩いた。

神崎聖子も意地っ張りだ。ただ黙って、その様子を...

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